ドッグトレーニング ニューヨークスタイル
(Vol. 3)
ワンとトレーニングを最大限に楽しむためのヒント
1、「コミュニケーション」
何より、ワンと上手にコミュニケーションが取れなければ、トレーニングを楽しむことができない。
私たち日本人は、この「コミュニケーション」と言う言葉をほとんど、日本語同然のように良く使う。
しかし、このコミュニケーションという英語は知っていても、日本語の意味を知らない人が多い。
「会話」や「対話」?いやいや。正解は「伝達」である。
コミュニケーションとは、あなたの「伝えたいこと」が、相手(ワン)に「達して」、
はじめて成立することになる。あなたの「楽しい」とか「うれしい」と言う気持ちが
ワンに伝わったときに、本当のコミュニケーションが生まれてくる。
ワンのトレーニングがうまくいかない人の多くは、自分の伝えたいことがきちんと
ワンに達していない一方通行の状態ということだ。
2、「褒め方」
褒めることは、ワンとのコミュニケーションの中で、最も重要な行為のひとつだ。 褒められれば誰でもうれしい。もちろん、ワンだって叱られるよりは褒められた方がうれしいに決まっている。ワンを褒める場合、発する言葉そのものや内容は重要ではない。トーンの低い声で「キミは本当にいい子だ。素晴らしい」とワンに言ったところで、ワンは全く理解してくれない。「Good
boy」「ヨシヨシ」言葉は何でも良い。褒めるときに重要なのは、ハイトーンでハッピーな口調を用いて、いかに今、自分がうれしくてワンとの時間が楽しいかを伝達してあげることが大切だ。
一般のドッグオーナーさんがワンの褒め方を練習するには、ムツゴロウさんを真似て褒めるのが一番良い方法だと思う。ただし、興奮しやすいワンの場合、微調整が必要。
3、「ワンが得意な行動を徹底的に褒める」
前述の通り、ワンとのコミュニケーションで、最も重要なのが褒めることだ。
仮に、あなたがワンの不適切な行動で悩んでいる場合、その行動を効率よく矯正したいのであれば、先ずは、ワンの得意な行動を見つけてあげて、徹底的に褒めてお互いの気持ちを繋ぎ直すことから始めてみよう。
不適切な行動を直ぐに止めさせようとか、矯正しようという意識で「叱る」ことを先行させてしまうのではなく、
「オスワリ」が得意なワンであれば、それを当たり前と思わず、常に「オスワリ」のコマンドを出し、徹底的にワンを褒めてあげてみる。そうすると、ワンにすれば、いつも褒められる環境が生まれる。
そしてあなた自身、今までは、「叱る」ことが中心だったワンとのコミュニケーションが、
「褒める」ことが中心のコミュニケーションに変わってくる。
するとワンは、褒められようとする行動を多く取るようになってくる。
4、「ワンとの理想的なライフスタイルをイメージする」
あなた自身、ワンを褒める習慣が身についたら、「楽しむことが最優先」のニューヨーク・スタイルを50%習得したことになる。さてここから、次のステップのニューヨーク・スタイルを実践していこう。
先ずはあなた自身、ワンとどんなライフスタイルを送りたいかをイメージしてみる。ライフスタイルと言っても、難しく考える必要は無い。
「普段の生活の中で、ワンとこんなことが一緒にできたらうれしいな」と言う程度の楽しい事を想像するだけだ。
例えば、「週末にのんびりと散歩を楽しみたい」とか、「ワンと一緒にドッグカフェに行きたい」など、ワンと暮らし始めた時に想像したことを思い出すだけでよい。
楽しむためのゴールをもう一度設定することで、次に行うべきトレーニングが具体化され、それを楽しむ余裕も出てくる。
5、「トリート(ご褒美)の使い方」
「ご褒美=食べ物」は間違った認識!ワンにとって本当のご褒美は、オーナーさんの笑顔であり、「キミのことが本当に好きだよ」と言う、たっぷりの愛情表現だ。
では、ニューヨーク・スタイルでは食べ物をご褒美として使用しないのか?答えはNOである。私はオーナーさんに、最初のうちは食べ物をご褒美として使ってもらうよう勧めている。
しかし、食べ物に頼るだけのトレーニング(コミュニケーション)は避けてもらうようにアドバイスをする。食べ物をご褒美として用いる場合、初期の段階では、ワンにトレーニングに強い興味を持ってもらうことと、
トレーニングは楽しいんだ、と認識してもらうため。そして、よく出来た行動に対して印象深くするためである。その後はトリートをあげる回数も徐々に減らしていくが、この時、一番大切なのはワンをしっかりと褒めてあげて、
精神的な満足感を与えてあげることだ。
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